生成AIパスポート試験の用語一覧204語
生成AIパスポート試験のシラバス(2027年2月試験から適用)の5つの章ごとに、用語を並べています。用語名から解説ページに進めます。
- AIの基礎と歴史49語
- 生成AI42語
- AIエージェント36語
- リスク・倫理・ガバナンス54語
- 実践と活用23語
AIの基礎と歴史
AIと機械学習
- AI(人工知能)
人間の知的なふるまい(理解する・判断する・予測するなど)を、コンピュータで実現しようとする技術。
- ルールベース
人が書いた決まり(もし〜なら〜する)に従って判断する AI の仕組み。決まりにない場面には対応しにくい。
- 機械学習
データからパターンを自動で学び、予測や判断ができるようにする方法。人が決まりを全部書かなくてよい。
- ディープラーニング(深層学習)
層を深く重ねたニューラルネットワークを使う機械学習。画像・音声・文章などで高い性能を出し、今の生成AIの土台になった。
- 学習済みモデル
データで学習を終え、予測や生成に使える状態になったモデル。
- 教師あり学習
正解(ラベル)付きのデータで学ぶ機械学習。分類や回帰に使う。
- 教師データ
教師あり学習で使う、入力と正解の組のデータ。
- 分類
データがどのグループに入るかを当てる問題。2つに分ける二値分類と、3つ以上に分ける多値分類がある。
- 回帰
売上や気温のような、数の値を予測する問題。
- 正解率
予測したもののうち、正しく当たった割合。分類のモデルの良さを見る指標の1つ。
- 教師なし学習
正解の付いていないデータから、似たもののまとまりや特徴を見つける機械学習。クラスタリングや次元削減など。
- クラスタリング
正解なしで、似ているデータどうしをグループ(クラスタ)に分けること。
- 次元削減
たくさんある特徴を、大事な情報を残したまま少ない数にまとめること。データを見やすく・扱いやすくする。
- 強化学習
試行錯誤しながら、報酬が最も多くなる行動のしかたを学ぶ機械学習。ゲームやロボットの制御などに使う。
- 報酬・価値・方策
強化学習の基本の考え方。報酬は行動の良し悪しの点数、価値は先々まで含めた良さの見込み、方策はどの場面でどう行動するかの決まり。
- 半教師あり学習
少しの正解付きデータと、たくさんの正解なしデータを組み合わせて学ぶ方法。
- ノーフリーランチ定理
どんな問題にも最も良い万能の学習方法はない、という考え。問題に合わせて方法を選ぶ必要がある。
ニューラルネットワーク
- ニューラルネットワーク
人間の脳の神経細胞のつながりをまねた数理モデル。入力層・隠れ層・出力層からなる。
- 入力層・隠れ層・出力層
ニューラルネットワークの層。データを受け取る入力層、途中で特徴をとらえる隠れ層、結果を出す出力層。
- 重み
ニューラルネットワークのつながりの強さを表す数。学習では、この重みを少しずつ調整する。
- 活性化関数
各ニューロンの出力を決める関数。ネットワークに、まっすぐな線では表せない複雑な関係を学ばせるために使う。
- 損失関数
モデルの予測と正解とのずれの大きさを数で表す関数。学習では、これを小さくするように重みを調整する。
- 誤差逆伝播法(バックプロパゲーション)
出力のずれ(誤差)を出力層から入力層の向きに伝えて、各重みをどれだけ直せばよいかを計算する方法。
- 勾配降下法
損失が小さくなる向き(勾配の逆)に、重みを少しずつ動かしていく最適化の方法。
- 過学習(オーバーフィッティング)
学習データに合わせすぎて、新しいデータではうまく予測できなくなること。
- 汎化
学習に使っていない新しいデータでも、うまく予測できること。汎化の性能が高いほどよいモデル。
- アーリーストッピング
過学習が始まる前に、学習を早めに止める方法。
- 正則化
重みが大きくなりすぎないように制限をかけて、過学習を防ぐ方法。
- ドロップアウト
学習のたびに一部のニューロンをランダムに休ませて、過学習を防ぐ方法。
- 転移学習
ある問題で学習したモデルの知識を、別の問題に使い回して学習すること。少ないデータでも学習しやすい。
- ファインチューニング
学習済みのモデルを、目的に合ったデータで追加で学習させて、特定の用途に合わせること。
モデルの種類
- CNN(畳み込みニューラルネットワーク)
画像の小さな範囲ごとに特徴をとらえる「畳み込み」を使うネットワーク。画像の認識(コンピュータビジョン)が得意。
- RNN(再帰型ニューラルネットワーク)
前の時点の情報を次に引き継ぎながら処理するネットワーク。文章や音声などの順番のあるデータ(シーケンスデータ)を扱う。
- 勾配消失問題
層が深いと、学習で伝える勾配がどんどん小さくなり、入力に近い層の重みがほとんど学習されなくなる問題。逆に大きくなりすぎるのが勾配爆発問題。
- LSTM
RNN を改良し、長い順番のデータでも前の大事な情報を覚えておけるようにしたモデル。
- Attention
入力のうち、どこに注目すればよいかを重み付けして処理する仕組み。Transformer の中心になっている。
- VAE(変分オートエンコーダ)
データを潜在ベクトルに縮めるエンコーダと、そこからデータを作り直すデコーダを学ぶ生成モデル。潜在ベクトルを変えると新しいデータを作れる。
- 潜在ベクトル
データの特徴を、少ない数の並び(ベクトル)に縮めて表したもの。
- GAN(敵対的生成ネットワーク)
本物らしいデータを作る生成器(Generator)と、本物か偽物かを見分ける識別器を競わせて学ぶ生成モデル。
- 識別系AIと生成系AI
識別系AIは、データを分類・判定するAI(例: 画像に写っているものを当てる)。生成系AIは、文章・画像などの新しいデータを作るAI。
- ディープフェイク
AI で作った、本物の人物の顔や声に似せた偽の画像・動画・音声。悪用されると、なりすましや偽情報につながる。
AIの歴史
- ダートマス会議
1956年にアメリカで開かれた研究会。ここで「人工知能(Artificial Intelligence)」という言葉が使われ、AI 研究の始まりとされる。
- 第一次AIブーム
1950〜60年代ごろの AI ブーム。探索と推論で、迷路やパズルのような決まった問題を解いた。現実の複雑な問題は解けず、下火になった。
- 第二次AIブーム
1980年代ごろの AI ブーム。専門家の知識をルールとして入れたエキスパートシステムが広まったが、知識を書き尽くす難しさから下火になった(AIの冬)。
- エキスパートシステム
医療などの専門家の知識を、知識ベースとしてルールの形で入れ、専門家のように判断させるシステム。
- AIの冬
期待に技術が追いつかず、AI の研究への関心やお金が減った時期。
- 第三次AIブーム
2000年代以降の AI ブーム。ビッグデータと計算能力の向上で、機械学習とディープラーニングが大きく進んだ。
- ビッグデータ
量が多く、種類も多様で、どんどん増えていく大規模なデータ。機械学習の性能を高める材料になった。
- シンギュラリティ(技術的特異点)
AI が人間の知能を超え、社会が予測できないほど大きく変わるとされる時点。2045年ごろとする説がある。
生成AI
Transformerと基盤モデル学習のしくみ生成のしくみLLMとサービス画像・音声・動画
Transformerと基盤モデル
- Transformer
Attention を中心にした、文章などを処理するモデルの仕組み。並列に計算でき、遠く離れた言葉の関係(長距離依存)もとらえやすい。今の LLM の土台。
- Self-Attention(自己注意機構)
文章の中の各単語が、同じ文章のほかの単語とどれだけ関係するかを計算する仕組み。Query・Key・Value の3つの値を使う。
- 自然言語処理
人が使う言葉(自然言語)を、コンピュータで理解・生成する技術。翻訳・要約・質問への回答など。
- 拡散モデル(Diffusion Model)
データに少しずつノイズを加える拡散過程と、ノイズを取り除いて元に戻す逆拡散過程を学ぶ生成モデル。画像生成でよく使われる。
- 潜在拡散モデル(Latent Diffusion Model)
画像そのものではなく、縮めた潜在空間の上で拡散モデルを動かす方法。少ない計算で高い品質の画像を作れる。
- 基盤モデル(Foundation Model)
大量のデータで事前学習した、いろいろな用途に使い回せる大きなモデル。追加の学習や指示で、特定の作業に合わせられる。
- マルチモーダルモデル
文章・画像・音声など、複数の種類(モダリティ)のデータをまとめて扱えるモデル。
学習のしくみ
- 事前学習
大量の文章などで、次に来る言葉(トークン)を予測する練習をさせ、言葉の知識を広く身につけさせる最初の学習。
- 次トークン予測
それまでの文に続く、次のトークンを確率で予測すること。LLM は、これをくり返して文章を作る。
- パラメータ
モデルの中にある、学習で決まる数(重みなど)。数が多いほど大きなモデルになる。
- 教師ありファインチューニング
質問と良い答えの組のデータで、事前学習を終えたモデルを追加で学習させること。
- 指示チューニング(Instruction Tuning)
さまざまな指示と、それに合った答えのデータで学習させ、人の指示に従いやすくすること。
- ドメイン適応
医療や法律など、特定の分野のデータで追加の学習をして、その分野に強くすること。
- RLHF
人間のフィードバックによる強化学習。人が答えの良し悪しを評価したデータで報酬モデルを作り、より役に立つ・安全な答えを出すように学習させる。
- 報酬モデル
RLHF で使う、答えの良さを点数で予測するモデル。人の評価をもとに作る。
- スケーリング則(Scaling Laws)
モデルの大きさ・データの量・計算量を増やすほど、性能が予測できる形で上がっていくという法則。
- 創発的能力
モデルを大きくしたときに、小さいモデルにはなかった能力が、ある規模から急に現れること。
- 学習データの課題
学習データの量と品質、偏り(バイアス)、著作権など。データに問題があると、出力にも偏りや誤りが出る。
生成のしくみ
- トークン
生成AIが文章を扱うときの最小の単位。単語や、単語をさらに分けた部分(サブワード)など。
- トークン化
文章をトークンに区切ること。
- 埋め込み(Embedding)
単語や文章を、意味の近さが計算できる数の並び(ベクトル)に変換すること。意味が近いものほど、ベクトルも近くなる。
- ハルシネーション
生成AIが、事実と違う内容や、もっともらしい作り話を出力すること。確率で言葉をつなぐ仕組みのため起こる。
- Temperature
生成パラメータの1つ。値が低いと確率の高い言葉を選びやすく安定した答えに、高いと多様で意外な答えになりやすい。
- Top-p
生成パラメータの1つ。確率の高い順に足して p に達するまでの候補の中から、次のトークンを選ぶ。
- コンテキストウィンドウ
モデルが一度に扱える入力と出力のトークンの量の上限。これを超えた分は考慮されない。
LLMとサービス
- LLM(大規模言語モデル)
大量の文章で学習した、大規模な言語モデル。文章の生成・要約・翻訳・質問への回答などができる。
- 言語モデル(LM)
文章の中で、次にどの言葉が来るかの確率を計算するモデル。これを大規模にしたものが LLM。
- プロンプト
生成AIに入力する指示や質問の文。
- クラウド型LLM
提供する会社のサーバーで動き、インターネットを通して使う LLM。すぐ使えるが、入力したデータが外に送られる。
- オンプレミスLLM
自社のサーバーなどの中で動かす LLM。データを外に出さずに済むが、機器や運用の手間がかかる。
- オープンウェイト
学習済みモデルの重み(パラメータ)が公開されていて、自分の環境で動かせるモデル。使ってよい範囲はライセンスで決まる。
- 推論モデル(Reasoning Model)
答える前に、途中の考え(思考の過程)を多く生成してから答えるモデル。推論のときに多くの計算を使い、複雑な問題に強い。
- 思考の連鎖(Chain-of-Thought)
答えだけでなく、途中の考えを順を追って出すこと。複雑な問題で正しい答えにたどり着きやすくなる。
- コーディングエージェント
プログラムのコードを読み、書き、動かして確かめるまでを、自律的に進める AI エージェント。
画像・音声・動画
- 画像生成AI
文章の指示などから画像を作る生成AI。拡散モデルが多く使われる。
- インペインティング
画像の一部を指定して、その部分だけを生成AIで描き直すこと。
- 電子透かし
画像などに、目に見えにくい形で情報を埋め込む技術。AI で作ったことを示すのにも使われる。
- C2PA
画像や動画が、だれによって・どのように作られ・編集されたかという来歴情報を記録するための技術の標準。
- 音声生成AI
文章から自然な声を作る(ニューラル TTS)など、声を生成する AI。特定の人の声をまねる Voice Cloning もある。
- ニューラルTTS
ニューラルネットワークを使って、文章を人に近い自然な声に読み上げる技術。
- Voice Cloning
少しの音声から、特定の人の声をまねて話させる技術。本人の同意なく使うと、なりすましや権利の侵害になる。
- 動画生成AI
文章や画像の指示から動画を作る生成AI。
AIエージェント
エージェントの基本RAGエージェントのしくみ外部連携リスクと評価
エージェントの基本
- AIエージェント
目的を与えると、計画を立て、ツールを使い、結果を見ながら、複数の作業を自律的に進める AI。
- ワークフロー型エージェント
人があらかじめ決めた手順(ワークフロー)に沿って動くエージェント。動きが予測しやすく、管理しやすい。
- 自律型エージェント
手順を自分で考えて決め、状況に応じて進め方を変えるエージェント。柔軟だが、想定外の動きへの注意が必要。
- 自律性のレベル
AI エージェントに、どこまで任せるかの度合い。人がすべて確認するものから、自分で判断して進めるものまで段階がある。
- Human-in-the-Loop
AI の処理の途中に人の確認や判断を入れること。大事な操作の前に人が承認するなど。
RAG
- RAG(検索拡張生成)
質問に関係する文書を検索して、その内容をもとに生成AIに答えさせる仕組み。モデルを学習し直さずに、最新の情報や社内の情報を使え、ハルシネーションを減らせる。
- ベクトルデータベース
文章などを埋め込み(ベクトル)にして保存し、意味の近いものを速く探せるデータベース。RAG でよく使う。
- セマンティック検索(意味的検索)
言葉が一致するかではなく、意味が近いかで探す検索。埋め込みを使う。
- ハイブリッド検索
キーワードが一致するかの検索と、意味の近さの検索を組み合わせる方法。
- リランキング
検索で見つかった候補を、質問との関係の強さで並べ直して、より役立つものを上にすること。
- チャンク分割
RAG で使う文書を、検索しやすい大きさのかたまり(チャンク)に分けること。
- Advanced RAG
質問の書き換え(クエリの書き換え)やリランキングなどを足して、検索と回答の質を高めた RAG。
- Agentic RAG
エージェントが、何をどう検索するかを自分で考え、くり返し検索しながら答えを作る RAG。
- Graph RAG
物事の関係をつないだ知識グラフを使って、関係をたどりながら情報を探す RAG。
エージェントのしくみ
- タスク分解と計画
大きな目的を、小さな作業(サブタスク)に分け、進める順番を考えること。
- Function Calling(Tool Use)
生成AIが、決められた形で外部の関数やツール(検索・計算・API など)を呼び出して使う仕組み。
- 記憶(メモリ)
エージェントが覚えておく情報。今の作業の中で使う短期メモリと、作業をまたいで残す長期メモリがある。
- コンテキストエンジニアリング
エージェントがよく働けるように、コンテキストウィンドウに入れる情報(指示・資料・履歴・ツールの結果など)を選んで組み立てること。
- システムプロンプト
利用者の入力の前に置かれ、AI の役割やふるまいの決まりを伝える指示。
- ガードレール
AI が危ない・不適切な動きをしないように設ける制限やチェックの仕組み。
- 構造化出力
JSON など、決められた形で AI に出力させること。ほかのプログラムで扱いやすくなる。
- フィードバックループ
考える(推論)→ 行動する → 結果を見る(観察)→ 計画を直す(再計画)をくり返して、目的に近づける流れ。
外部連携
- MCP(Model Context Protocol)
AI と、外部のツールやデータをつなぐための共通の決まり(プロトコル)。MCP サーバーを通して、いろいろなサービスを同じ方法で使える。
- MCPサーバー
MCP の決まりに沿って、AI にツールやデータを提供するプログラム。与える権限の管理が大切。
- マルチエージェント
役割の違う複数のエージェント(サブエージェントなど)が、分担や協力をしながら作業を進める仕組み。
- A2A(Agent-to-Agent)
異なるエージェントどうしが、情報をやり取りして連携するための決まり(プロトコル)。
- Agent Skills(エージェントスキル)
特定の作業の手順や資料、道具をひとまとめにした「スキル」を、エージェントが必要なときに読み込んで使う仕組み。
- ハーネスエンジニアリング
エージェントを動かす周りの仕組み(使えるツール、権限、確認の手順、テストなど)を設計し、安全にうまく働かせること。
- ディープリサーチ
AI が、複数の情報源を自分で検索・調査して、まとまったレポートを作る機能。
リスクと評価
- 権限の過剰付与
エージェントに必要以上の権限(データの削除・送金・外部への送信など)を与えてしまうこと。誤動作や悪用のときの被害が大きくなる。
- 最小権限の原則
作業に必要な最小限の権限だけを与える考え方。エージェントでも大切。
- サンドボックス
外に影響が出ないように隔離した環境。エージェントにプログラムを実行させるときなどに使う。
- プロンプトインジェクション
Web ページや文書の中に、AI への不正な指示を紛れ込ませ、AI に意図しない動き(情報の持ち出しなど)をさせる攻撃。
- 連鎖的なエラー
エージェントの1つの誤りが、次の作業に引き継がれて、どんどん大きくなること。
- 多層防御
1つの対策に頼らず、複数の対策を重ねて守る考え方。
- Eval(評価)
AI やエージェントの出力の質を、決めたテストや基準で測ること。導入の前だけでなく、継続的なモニタリングも大切。
リスク・倫理・ガバナンス
基本姿勢とリスクシャドーAIと検証個人情報と秘密著作権と知的財産倫理とガバナンス法と国際ルール
基本姿勢とリスク
- 一次情報
公的な機関の発表や原文など、元の発信元の情報。生成AIの答えは、一次情報で確かめる。
- 出力の検証
生成AIの出力を、そのまま使わず、事実・根拠・妥当性を人が確かめること。最終的な責任は人間にある。
- 批判的思考
情報をうのみにせず、根拠や前提を確かめながら考えること。
- AIを使わない判断
用途や影響の大きさによっては、生成AIを使わないほうがよいと判断すること。
- バイアス
学習データなどの偏りによって、出力が特定の考えや属性に偏ること。差別や偏見につながることがある。
- 情報漏えい
入力した機密情報や個人情報が、外部に漏れること。生成AIのサービスに入力した内容の扱いに注意が必要。
- 名誉毀損・信用毀損
事実でない情報などで、人の社会的な評価や、会社の信用を傷つけること。生成AIの出力を公開すると、起こすことがある。
- フィッシング
本物のふりをしたメールやサイトで、パスワードやカード番号などをだまし取る詐欺。生成AIで自然な文章が作れるため、見分けにくくなっている。
- ソーシャルエンジニアリング
人の心のすきや思い込みを利用して、情報を聞き出したり、操作をさせたりする手口。
シャドーAIと検証
- シャドーAI
会社が認めていない生成AIのツールを、従業員が業務で勝手に使うこと。情報漏えいや、使った記録が残らない(トレーサビリティがない)問題がある。
- シャドーIT
会社が認めていない IT の機器やサービスを、従業員が業務で使うこと。
- 承認済みツール
会社が安全性などを確かめて、業務で使ってよいと認めた AI のツール。
- トレーサビリティ
だれが、いつ、何をしたかを、あとから追いかけて確かめられること。
- ファクトチェック
事実・数値・出典・最新の情報が正しいかを、一次情報などで確かめること。
- 妥当性レビュー
出力の前提・論理・抜け漏れが正しいかを確かめること。
- 検証レベル
用途と影響の大きさに応じて決める、確かめる深さ。社外に出す文書や、判断に使う情報ほど深く確かめる。
個人情報と秘密
- 個人情報
生きている個人に関する情報で、名前や生年月日など、特定の個人を識別できるもの。
- 個人識別符号
それだけで特定の個人を識別できる符号。指紋や顔の特徴のデータ、マイナンバー、パスポートの番号など。
- 要配慮個人情報
人種・信条・病歴・犯罪の経歴など、差別や偏見につながらないよう、特に配慮が必要な個人情報。取得には原則として本人の同意が要る。
- 第三者提供
個人データを、本人や会社以外の人に渡すこと。原則として本人の同意が必要。
- 匿名加工情報
特定の個人を識別できず、元にも戻せないように加工した情報。決まりに沿えば、本人の同意なく第三者に提供できる。
- 仮名加工情報
ほかの情報と照らし合わせなければ個人を識別できないように加工した情報。主に社内での分析に使う。
- マスキング
名前や番号などの一部を、伏せ字などで隠すこと。生成AIに入力する前に使う。
- 営業秘密
不正競争防止法で守られる、会社の秘密の情報。秘密管理性・有用性・非公知性の3つの条件を満たすもの。
- 秘密保持契約(NDA)
取引などで知った秘密の情報を、ほかに漏らさないと約束する契約。
著作権と知的財産
- 著作物
思想や感情を、創作的に表現したもの。文章・音楽・絵・プログラムなど。
- 著作者人格権
著作者の気持ちや名誉を守る権利。公表権・氏名表示権・同一性保持権があり、人に譲ることはできない。
- 複製権・翻案権
著作権の一部。複製権は作品をコピーする権利、翻案権は作品をもとに、変形・脚色などして新しい作品を作る権利。
- 類似性と依拠性
著作権の侵害かを判断するときのポイント。類似性は既存の作品と似ていること、依拠性は既存の作品をもとにして作ったこと。
- AI学習と著作権
AI の学習(情報解析)のために著作物を使うことは、日本では原則として許諾なくできる(著作権法第30条の4)。ただし、著作権者の利益を不当に害する場合は除かれる。
- 引用
決まりに従えば、許可なく他人の著作物を使えること。出典を示す、自分の文章が主で引用は従、引用の部分をはっきり分けるなどが必要。
- AI生成物の著作物性
AI が作ったものが著作物になるかどうか。人が創作の意図を持ち、創作的に関わった(創作的寄与)といえる場合に、著作物になりうる。
- 肖像権・パブリシティ権
肖像権は、無断で顔や姿を撮影・公開されない権利。パブリシティ権は、有名人の名前や姿が持つ、客を引きつける力(顧客吸引力)を守る権利。
- 商標権・意匠権・特許権
知的財産権の仲間。商標権は商品やサービスの名前・マーク、意匠権は製品のデザイン、特許権は発明を守る。
- 利用規約・ライセンス
AI のサービスや、OSS(オープンソースソフトウェア)、素材を使うときの決まり。商用で使えるか、生成物の扱いなどを確かめる。
倫理とガバナンス
- AI倫理
AI を作る・使うときに守るべき考え方。人間中心、公平性、透明性、プライバシーの保護など。
- ELSI
新しい技術が生む、倫理的・法的・社会的な課題。AI でも考える必要がある。
- AI事業者ガイドライン
AI を開発・提供・利用する事業者が守るべき共通の指針を、日本の国(総務省・経済産業省)がまとめたもの。人間中心・安全性・公平性・透明性などを示す。
- アカウンタビリティ
説明責任。AI を使った判断の理由や責任の所在を、説明できるようにしておくこと。
- エコーチェンバー
似た意見の人どうしで集まり、同じ意見ばかりが響き合って強まる現象。
- フィルターバブル
検索やおすすめの仕組みで、自分の好みに合う情報ばかりに囲まれ、ほかの見方が見えにくくなること。
- デジタルタトゥー
インターネットに一度公開された情報が、消しても残り続けること。
- AIガバナンス
組織が AI を安全に使い、効果を出すための管理の仕組み。方針・社内ガイドライン・体制・モニタリング・見直しなど。
- アジャイル・ガバナンス
変化の速い技術に合わせて、ルールを決めて終わりにせず、評価と見直しを短いサイクルでくり返す管理の考え方。
- 社内ガイドライン
社内で生成AIを使うときの決まり。使ってよいツール、入力してよい情報、出力の確認、申請と承認の流れなど。
- インシデント対応
情報漏えいなどの問題が起きたときに、被害を小さくし、原因を調べて再発を防ぐための対応。
- ローカルLLM
自分の PC や社内の環境で動かす LLM。データを外部に送らずに使える。
法と国際ルール
- AI法
日本の「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」。AI の研究開発と活用を進めながら、リスクにも対応するための基本の枠組みを定めた法律。
- AI基本計画
AI法に基づいて国が定める、AI の研究開発と活用を進めるための計画。
- ソフトロー
法律のような強制力はないが、ガイドラインや指針として守ることが期待されるルール。日本の AI の規律は、ソフトローを中心にしている。
- G7広島AIプロセス
2023年の G7 広島サミットをきっかけに始まった、生成AIなどの高度な AI のための国際的なルールづくり。国際指針と国際行動規範をまとめた。
- EU AI Act(EU AI規則)
EU の AI の法律。AI をリスクの大きさで分け(リスクベース・アプローチ)、大きいものほど厳しい義務を課す。
- リスクベース・アプローチ
リスクの大きさに応じて、対策や規制の強さを変える考え方。
- リスキリング
新しい仕事や技術の変化に対応するために、新しい知識や技能を学び直すこと。
実践と活用
プロンプト
- プロンプトエンジニアリング
生成AIから目的に合った出力を得られるように、指示(プロンプト)を工夫して組み立てること。
- Zero-Shotプロンプティング
例を示さずに、指示だけで答えさせる方法。
- Few-Shotプロンプティング
いくつかの例(入力と出力の見本)を示してから答えさせる方法。出力の形をそろえやすい。
- In-Context Learning(文脈内学習)
モデルを学習し直さずに、プロンプトの中の例や説明から、その場で作業のしかたをつかませること。
- 役割設定
「あなたは〇〇の専門家です」のように、AI に役割を与えて答えさせる方法。
- 出力形式の指定
箇条書き・表・文字数など、出力の形をプロンプトで指定すること。
- 具体度のコントロール
目的・対象読者・条件などを、どこまで詳しく書くかを調整すること。あいまいな指示は、あいまいな出力になりやすい。
- 対話的な改善
一度で完ぺきを目指さず、出力を見ながら指示を足したり直したりして、少しずつよくしていくこと。
業務での活用
- 要約・要点抽出
長い文章や会議の記録から、大事な点を短くまとめること。生成AIの代表的な使い方。
- 文字起こし・議事録
会議の音声を文字にし、決まったことや宿題をまとめること。
- 壁打ち
考えを AI に話して、質問や反対の意見を返してもらいながら、アイデアを深めること。
- LP(ランディングページ)
広告などから来た人が最初に見る、1枚で完結した紹介のページ。生成AIで文章やページそのものを作ることもある。
- ブレインストーミング
批判せずに、たくさんのアイデアを出し合う方法。生成AIは、アイデアの数を増やすのに役立つ。
- 多言語ローカライズ
文章や素材を、別の言語や地域の文化に合わせて作り直すこと。
- モックアップ
完成品のイメージを確かめるための見本(画面やデザインの試作)。
- 検算
生成AIが出した数字や計算の結果を、別の方法でもう一度計算して確かめること。
- コードレビュー
書かれたプログラムを、別の人(や AI)が読んで、誤りや改善点を確かめること。
- リファクタリング
プログラムの動きを変えずに、中の作りを読みやすく・直しやすく整えること。
- 定型業務の自動化
毎回同じ手順の作業を、生成AIやエージェントに任せて自動で行うこと。
業種と変革
- AX(AIトランスフォーメーション)
AI を使って、仕事の進め方や事業のしくみそのものを大きく変えること。
- DX(デジタルトランスフォーメーション)
デジタル技術を使って、製品・サービス・仕事の進め方を変え、新しい価値を生むこと。
- 業種別の生成AI活用
製造・小売・医療・金融など、業種によって生成AIの使い方や注意点は違う。個人情報や機密性が重視される業種では、安全性の確認や専門家の確認がとくに大切。
- 専門家による確認
医療・法律・金融など、誤りの影響が大きい分野では、生成AIの出力を専門家が確かめてから使うこと。